1938年4月、株式会社千住鉛工場として創業以来、78年の歩みを振りかえると、有用な数多くの製品を開発して世に送り出し、産業界のニーズに応えてきました。これからも、新たな社会のニーズに応えることで、社会に貢献してまいります。

[第1世代] 高度成長を支えた、スパークルハンダ

紀元前3000年ごろに発見されたスズと鉛からなるはんだ合金を、1955年に日本で初めて線状に加工した合金の中心部にフラックスを含有させたやに入りはんだを「スパークルハンダ」として製品化し生産を開始しました。発見当初は、容器などの装飾品や水道管の接合に多く使われていましたが、電子電気機器が発明されて以後、電気を通す接合材料として配線用基板などに使用され、電子機器産業の発展に大きく寄与しました。1956年には、はんだに関して初のJIS・日本工業規格の表示許可を頂き、1965年からの高度経済成長期を支援しました。

電子機器の多様化や高密度化に伴い、棒ややに入り形状のはんだだけでなくペーストやプリフォームといった形状のはんだ製品も開発、1990年代には半導体や部品底面の外部電極用としてボール形状も開発され、部品や半導体パッケージの超小型化や高密度化に大きく寄与しました。

スパークソルダー

[第2世代] M705合金で、鉛フリー化をスタート

高度成長で物が溢れ廃棄され放置した配線基板の鉛系はんだが酸性雨に溶けて地下水となり、飲料水として摂取した人間や環境に悪影響を与えることから、EUでは鉛フリーはんだの使用義務が法制化されました。千住金属工業は、世界に先駆けて信頼性の高いスズ - 銀 - 銅系鉛フリーはんだ「M705」を開発し特許を取得、これを公開したことで世界的な標準材料となり鉛フリー化がスタートし、環境保全に大きく貢献しました。これを契機に「世界に飛躍する企業」へと発展しました。

※ECO SOLDER ロゴは、千住金属工業の商標または登録商標です。

鉛フリーはグリーン、さらにハロゲンフリーはピンクのスプールと容器で商品化しています。

[第3世代] 用途に応じて、最適な合金を選択

鉛フリー化は、スズ- 鉛系一筋であった時代とは異なり、各種組成のはんだの開発を可能にしました。鉛フリー化はM705からスタートし円熟期を迎えた今、技術の蓄積や見識の向上とともに目的や用途に応じて最適な合金を使用する時代へと突入しました。低コストを狙った低銀/車載用高耐熱性合金/低温実装用低融点合金/超高密度実装用超微粉末ソルダペーストなど用途に応じて選択できる時代となっています。また、炭酸ガスなどGHG(グリーン・ハウス・ガス)排出を抑制した材料やはんだ付け装置を開発、本格的な環境配慮型製品の創出で社会に貢献したいと考えています。千住金属工業は、いち早く紛争鉱物不使用を宣言、お客様に安心してご使用いただく体制を構築しました。

故 佐藤 一策 前会長

故 佐藤 一策 前会長
社長在任期間 昭和59年7月~平成20年6月
会長在任期間 平成20年6月~平成24年9月

1990年代、鉛による地下水の汚染が環境問題となり、鉛の全廃を望む声が高まる中、若い時代に社長として赴任したドイツで、産業発展に伴う酸性雨による環境汚染の影響で、緑豊かな“黒い森”と呼ばれたシュヴァルツヴァルトの木が枯れる姿を目のあたりにし、重金属を扱う企業として、地域保護並びに業界保護のため、環境問題に対して危機感を高めなければならないとの強い意志を持つにいたりました。

重要課題の情報開示

持続可能性報告書の国際的ガイドラインであるGlobal ReportingInitiative(GRI)は、これまでの網羅的な情報開示から、重要課題(マテリアルな側面)に焦点を当てた情報開示へ2013年5月に改訂しました。千住金属工業は、経営の誠実さを「人」を通じて、ステークホルダーとのコミュニケーションをグローバル展開している姿「らしさ」を開示するために、EICC の行動規範に規定されている5つの側面と毎月実施しているCSR会議で報告のあった内容を、GRIが推奨する下記の4ステップ・フローに沿って、重要課題を特定しています。

銀行とメディアの皆様からの声

企業の社会性は、経済的側面以外に、法的責任や倫理的責任、そして社会貢献の4つのレベルで表されることが多く、より社会的ニーズに自発的に応えているかを理解していただくために、皆様からの声を掲載いたします。

メディア

電波新聞社
国際本部 部長
長谷川 正治

千住金属工業は、技術革新と環境配慮の両輪を駆動している、稀なグローバル企業として長年取材させていただいています。今日のIoTやビッグデータの到来が国内産業をB2CからB2Bへ変貌させている中、微細な接合材料をいち早く提供し、新たな産業を支援している姿勢に感動します。御社の動向は大変勉強になり、紛争フリー完了宣言や国内外での長期的な人材育成は他に類を見ません。メディアとして千住金属工業を紹介することは、業界の発展に繋がると確信しています。今後とも、メディアとの「Win-Win」の関係を維持し発展して欲しいです。

銀行

三菱東京UFJ銀行
浅草橋支社 支社長
稲波 輝郎

昭和22年のお取引開始以降、約70年間、メーンバンクとしてのお付き合いになります。国内のみならず、世界14ヵ国でのグローバルな事業活動を幅広くご支援させていただいています。千住橋戸町にある本社屋の存在感が象徴するように、地域の清掃活動への参加をはじめ地域貢献にも力を入れており、まさに「有用な製品を世に提供することで、公器としての使命を果たす」という経営理念を実践されておられます。今後も環境に優しく、地域とともに発展するグローバル企業として、益々ご発展されることを願っております。

(前列左から)稲波輝郎支社長・遠藤博幸支店長
(後列左から)・横田美雪さん・田中正徳次長・村越大明支社長代理
阿部幸花さん・坂口和年取締役(千住金属工業)・塩塚さおりさん