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LegacyからChallengeへ

千住金属工業グループの2024年度CSRサステナビリティレポートをお届けいたします。

当社は2012年よりCSRレポートを発行し、ステークホルダーの皆様に社会や環境への取り組みをお伝えしてまいりました。世界情勢やパンデミック、気候変動、自然災害など、私たちを取り巻く環境は変化が激しいものとなっています。この変化の激しい時代を生き抜くためには、取り組みや実績を報告するだけではなく、これからの価値を創出し、将来の目指す方向を示すことが必要だと考え、このたびレポートのタイトルを「CSRサステナビリティレポート」と改めました。

当社が関わる電子・電気機器、半導体、インフラ、モビリティなどさまざまな分野において、昨今では環境に配慮しつつコストはこれまでと変わらない製品が望まれています。このような製品を実現するためには技術革新が必要不可欠であり、そのためにはこれまで継承した技術だけに頼るのではなく、新たに挑戦し進化し続けていくことが重要だと考えています。

お客様への供給責任を継続して果たすためのBCP対策

近年、日本や世界において、地震や水害など自然災害による甚大な被害が多発しています。そのため、BCP対策は当社において重要な施策の一つです。

製造におけるBCP対策としましては、製造拠点の分散化をより一層推進し、全てのはんだ材料において、生産困難な拠点が出た際も国内・海外の他拠点が対応できるバックアップ体制が出来上がりました。今後の課題である材料在庫のBCPとして、まずは主要材料である金属地金を保管する自動倉庫の分散化も行う予定です。

また、自然災害などが発生した際にも生産が継続できるよう、はんだビレット自動製造ロボットや自動梱包ロボット、AGV(無人搬送車)など自動化・ロボット化を推進し、作業の属人化を改善しています。

本社機能におけるBCP対策としましては、本社に程近い一級河川である荒川が氾濫した場合の想定浸水深が5mであることから、河川氾濫による水害を想定した社内インフラ対策として、本社屋の電源設備などを高所に移設しました。さらに、浸水対策として防水扉や防水シャッターなどの設置を進めています。

さらに、出社が制限される事態が発生した際にも業務を継続できるよう、自宅でも社内と同等の業務ができるテレワークシステムの導入を進めています。

従業員が安心して働くことができる職場環境づくり

持続可能な組織であるためには、会社の成長とともに従業員が安心して働くことができる職場環境を整備することが重要だと考えています。

職場の安全においては、防火対策として当社の国内製造拠点に設置している水道連結型スプリンクラーに加え、千住金属工業とグループ会社である千住スプリンクラーとの協業によって開発した環境配慮型泡消火設備を工場内に設置し、従業員が安全に避難できる施設整備を進めています。

従業員の待遇面においては、毎年の昇給・賞与の他、2024年はベースアップや前年の利益に応じた特別賞与に加えて、持株会の定期配当とは別に臨時配当を行いました。これからも、得られた利益を従業員へ公平に配分するための適切な方法を検討し、還元していきます。

環境にやさしいSMICグループの事業活動

天然資源を原料とする製造会社として次の世代に何が残せるかを考え、地球課題となっているカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど、環境に配慮した事業活動を進めています。

カーボンニュートラルの活動としましては、グループ会社を含む国内製造拠点の購入電力において、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを推進しており、現在購入電力のほぼ100%を切り替えています。加えて、創エネルギーの一環として、当社の焼結材料製造で従来より使用しているアンモニアからの水素生成装置を活用した水素発電設備の導入を進めています。

サーキュラーエコノミーの活動としましては、これまでも推進していたはんだリサイクルにおいて、当社におけるリユース材・リサイクル材と、製錬所からの購入リサイクル材の使用率を上げており、今後もさらに増やしていく計画です。

環境配慮型製品としましては、PFASフリーの泡消火剤を新たに開発しました。ガソリンなどの石油系燃料による火災が起きたときの消火に欠かせない泡消火剤の一部には発がん性が指摘される特定PFASが含まれており、自然環境および人体へ悪影響を及ぼすとして規制対象となっています。PFASを含まない汎用泡消火剤は、環境問題に真摯に向き合ってきた千住金属工業グループにおいて率先して取り組むべき課題と考え、千住金属工業とグループ会社である千住スプリンクラーとの協業により、このたび実現しました。

また、低温はんだ実装によるCO₂排出削減に貢献できるソリューション「MILATERA」をはじめとした環境配慮型製品をリリースしており、今後も公器としての使命を果たしていきたいと考えています。

千住金属工業グループは、皆様のニーズに応え、持続可能な社会を実現するための事業活動に真摯に取り組んでまいります。今後とも、一層のご支援とご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

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