グローバル展開を加速

今日、グローバルな市場環境の変化に伴って、サプライチェーンの最適化などの改革が必要な時代になっています。千住金属工業は、サプライチェーン・マネジメントの概念が誕生した1980年代から、「海外市場で直接生産を」とのお客様からの要望に対応するために、長期に渡り海外赴任者を戦略的に育成してきました。この特集では、世界の14ヶ国・39拠点で事業を展開している千住金属工業の変革を加速している姿をご紹介します。

海外で活躍する社員数

シリコンバレーで製造!

奥野 哲也 統轄部長
(2012年帰任)

1997年に米国企業へのはんだ材料の製造販売を目的としてシリコンバレーに米国子会社SenjuComtek Corp. が設立され、その材料工場の立上げと米国顧客への対応のために赴任しました。
14年間の日本での開発経験を踏まえ、お客様の「生の声」に応える営業技術サービスと、2008年からは経営者としての経験もしました。マレーシア・香港・英国につぐ海外製造拠点の立上げでは、米国のグローバル企業のお客様への対応に徹底的に集中し、コスト競争力を意識した日系企業のお客様の多いメキシコには自分で車を運転して訪問しました。半導体産業などのお客様のニーズの先読みや必達ポイントを掴み、日本の開発部隊に早く正確に伝え、製品開発に繋ぐことが大変重要と感じます。米州全域以外では、北はカナダ、南はブラジルやアルゼンチンといった地球の裏側にもSMICブランドの浸透をめざした営業活動を展開しました。
スズのサプライチェーン管理における紛争鉱物調査では、ボリビアやペルーといった南米の精錬所を訪問しました。赴任当初は英語力も低く、苦労も数々ありましたが、この経験を生かして、今後のさらなるグローバル展開をますます成長させるよう進めていきたいと思います。

信頼関係の構築に時間をかけます

欧州地域:
岡 均 社長

37年間の企業人生活の中で、赴任歴は通算21年になります(シンガポール5年、ドイツ16年)。1974年に故佐藤一策会長がデュッセルドルフ に設立した輸出入代理店が始まりで、当初から大手のドイツ企業(車載や制御機器)との取引を主に行い欧州全域へはんだ材料を供給しています。欧州での商売は、まず「ノックするドアはどこ?」から始まり、通い詰めながら試作品を提案し、技術会議も毎年続けて、やっと注文を頂ける感じで、信頼構築に時間をかけます。お客様が困っている時こそ、問題を解決することが大切です。
グローバル市場では、10年、20年後を見据えた人材育成が鍵です。言葉の習得、国際経験の蓄積、特に市場ごとの商売の仕方、商習慣などを体得しなければなりません。また日本において、現地法人の従業員への研修も必要になってきます。その場合は、英語を使用しなければなりません。
働きやすく働き甲斐のある仕組みづくり、統括部署の設置、駐在員のやる気を高める工夫を通じて、グローバル化が実現できると考えています。

アジアの付加価値を増強

アジア地域:
北村 忠司 社長

1989年、当時すでに東南アジア諸国に進出された日系企業のお客様のご要望に応えるべく、スズの主要産地であるマレーシアに拠点を置き、はんだ製品の供給・サービスを開始しました。スズは、はんだの主原料です。その後、1995年にフィリピン、2003年にタイに現地法人を設立し、より多くのお客様に密着したサービスを提供しています。
2010年以降は「チャイナプラス1」として東南アジアが再認識され、インドネシアでは海外投資が増えています。そこで2014年、お客様にきめ細かいサービスやデリバリーを提供するため、インドネシアに現地法人を開設しました。今後、この東南アジア地域のさらなる経済発展に伴うニーズの多様化に応えるべく、製造、販売、サービス体制を整備し、お客様に喜んでいただけるよう対応いたします。

そして「ラボ」を設立

秋田 智ゼネラルマネージャー
(2014年帰任)

入社後、6年間はんだペーストの開発業務に携わった後、アメリカで自分を試してみたいとの希望が叶い、2001年から2014年まで(サンノゼ9年、シカゴ4年)赴任しました。担当は、シリコンバレーのサンノゼ工場内にラボを設立する業務です。北米では鉛フリーはんだの評価活動が本格的に始まった時期でもあり、ラボを最大限に活用することにより、新規顧客の開拓につなげることができました。私は、創造的で革新的なイノベーションを生み出すシリコンバレーにて、幅広い分野でのグローバル企業と接することで、グローバルに、そして多角的に物事を考える事の大切さを学びました。

現地化 そして南米へ

島村 将人 社長

北米とメキシコを中心としたビジネスを南米まで広げる目的で、2014年からシリコンバレーに赴任しました。自動車産業が活況なメキシコでは、従業員の雇用とローカルサポートの強化を図り、材料も装置も高品質で高信頼性を必要とするお客様の事業を確実にご支援できる仕組みを構築しています。また、モバイル製品とウェアラブル製品の活況により、半導体の微小化と温度変化に対する高信頼性を求めた高付加価値製品の要求が高まっています。そのため、主要なお客様との日々の電話会議を徹底することで、日本の開発陣がお客様のニーズに合った製品を迅速に開発できるように支援体制を整えました。現在、2016年中の稼動を目指し、ヘッドオフィスと工場を統合した自社ビルを準備中です。ハイテク企業が結集しているシリコンバレーで、地域社会と環境に配慮した魅力的な工場とヘッドオフィスの設立を目指します。

ニッポン品質を出前します

佐久間 健 統轄部長

世界のどこで調達しても、日本の品質を維持した最良な製品をお届けできるよう、ブランドの維持向上に努めることが私の仕事です。お客様の海外進出状況を把握し、どの製造拠点が対応すべきかを明確にする、国内外の営業部門と情報共有できるよう支援する、こうしたことが重要な役割と考えています。また世界同一品質を維持するために、国内同様「製造移管手続き」を徹底しています。製造方法、試験方法、合否判定基準など統一文書で指示し、世界中の拠点で教育を実施、その実績を定期監査で確認しPDCAを回しています。製品に含有する化学物質を、どこの国でも安心して製品を使っていただけるよう、各国の法律や規制に順守できる強固な組織体制を構築していきます。

我々の設備を待っている

名内 孝 部長
(2011年帰任)

2003年から米国子会社に8年間赴任しました。担当は、鉛フリーはんだ材料に必要な鉛フリー対応の装置事業の責任者として営業からサービスまでです。当初4年間はシリコンバレーを拠点とし、後半は、多くの日系企業が活躍しているメキシコへのアクセスを考え、サンディエゴに拠点を移しました。日本での装置の販売実績が増えるにつれて、メキシコでの販売台数も順調に増え、買い替え需要が一巡したところで、米系のOEMやEMS企業への営業活動を展開しています。その結果、西海岸の拠点だけではなく、はんだ材料の工場として立ち上げたシカゴ工場にサービスとして実験機を設置し、保守部品の在庫を確保することでサービス体制を整えました。私は、日本での装置の開発状況のみならず、お客様の「声」をよく聞き、他の海外拠点とも頻繁に情報交換を行いながら、自ら積極的に行動する事が大切であることを学びました。

世界の生産工場で…

中国事業担当:
長谷川 友秀 取締役

中国に進出する日系企業を支援する目的で、1995年以降5製造拠点8販売拠点を設立しています。テクニカルセンターからの技術スタッフを常時駐在させ、日本品質を短納期に提供できる良質なサプライチェーンの構築と、お客様の声を直接聞き、新製品の開発を加速させています。『世界の生産工場:中国』には、欧米企業も多く進出しており、同様の支援も重要と考えています。欧米の販売拠点と連携を密にし、グローバルなサプライチェーンを構築し、ファンを増やしていきたいと思います。また、中国企業の躍進も目覚ましく、有用で最良な製品の提供が社会貢献と考え、現地スタッフの育成と地域との現地化に努めています。2014年には長期にわたる人材育成と現地化を目指して上海千寿企業管理コンサルティング有限公司を設立し、教育と人事制度を再構築しています。SMICグループとしての連携をさらに強化して、常に変化する顧客ニーズに合致した製品・サービスをタイムリーに提供し、お客様に充分満足していただける本格的なグローバル企業を目指します。